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星の時計のLiddell

星の時計のLiddell (1)星の時計のLiddell (1)
(1985/09)
内田 善美

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今回紹介するのは、内田善美先生の「星の時計のLiddell」(集英社 全3巻)です。

「星の時計のLiddell」は不思議な夢を見る青年ヒュー・V・バイダーベックとその友人ウラジーミルの物語である。

物語の冒頭はウラジーミルの語りから次のように始まる。

「幽霊になった男の話をしようと思う…

だが、どこから語りだそう…(中略)…なら そう 彼の夢から語ろう。」

ウラジーミルは裕福な家の出で、世界中を転々と旅している。そんな彼が19歳の時アメリカ中西部の街でヒューと出会った。ヒューが醸し出す雰囲気にウラジーミルは魅かれ彼と親しくしている。

ある時、ヒューがいつも見る夢の話をする。

ヒューは見たこともない屋敷に居り、リドルと名乗る少女に出会う。そこでヒューは幽霊さんと呼ばれ、少女とかくれんぼをしたり話をしたりする。ポウの詩を口ずさむその不思議な少女はヒューに会いに毎晩屋敷を訪れるのだという。

ウラジーミルはその話を鮮明に記憶していた。なぜなら話を聞いたとき、窓の外は美しい青い夜であり、その美しさは黎明の月の光と冷気に包まれて死のにおいのするものであったからである。

実際ヒューは夢を見ているとき呼吸も脈もなくなり、別次元に行っているようであるが、再び現実の世界に戻ってくると何ともなかったかのように生活している。

ウラジーミルはヒューと彼の見る夢に興味を持ち、周囲の人間と語り合う。心理学者のロイドは、10年以上も夢を見続けて眠っている女性の話をし、日本人の葉月は、夢に出てくる"家"がヒューに恋しているのかもと言う。

ウラジーミルは、精神的、医学的、哲学的なアプローチでその夢に迫ろうとするが、現実と夢の境界を感じさせないヒューの魂と、宇宙にまで及ぶような壮大な精神は理解できない。

そんな中、夢に出てくる"家"が実在するとわかり、ヒューとウラジーミルはそれを探す旅に出る。

奇跡的に屋敷を見つけた二人はそこに住むことになるのだが、ある日ヒューは姿を消し、ウラジーミルのもとから旅立っていく。



「星の時計のLiddell」は何度読んでも難解でいろいろと考えさせられる作品ですね。

ヒューは、「何者でもないことが気に入っている」と言っていますが、何かに囚われることのない彼の生き様を見ていると、読者であるわれわれもウラジーミルのような気分になってきます。

ヒューは最後、ウラジーミルの前から姿を消しますが、現実・彼岸、肉体・魂にとらわれることない新たな存在となったのではないでしょうか。

作中で、葉月が"予感"という言葉を使っていますが、ウラジーミルとその周囲の人間は、人類の文明の進歩に精神がついていけなくなった時代、人類が人類であるという制限を超越する何かを感じ取っていたのでしょうか。

葉月が、作中で荘子の「胡蝶の夢」の話をしている場面がありますが、この作品はただ単に現実と彼岸の境界があいまいになる、といった単純なテーマではなくもっと壮大なスケールで紡がれていると感じます。

また、物語はウラジーミルの視点から語られており、場面の変化もあまりなく、哲学的な会話が多いので少し読みにくいかもしれません。ただ、そのおかげでストーリーに客観性・リアリティが出ているし、小説とも漫画ともつかない不思議な感覚で読むことが出来ると思います。

複雑怪奇、しかし長年にわたって読み継がれている「星の時計のLiddell」。手に入りにくい漫画ではありますが、一度、内田善美作品の哲学的で前衛的な内容にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

tag : 内田善美

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